読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

最高検監察指導部という部署

時事通信法務省人事(10日)」(2015/12/10)

 10日付人事。札幌高検検事長に就任した三浦守最高検公判部長の後任に榊原一夫大阪高検次席検事、その後任に北川健太郎大阪地検次席検事、その後任に田辺泰弘那覇地検検事正兼那覇高検那覇支部長、その後任に上冨敏伸官房審議官(刑事局担当)、その後任に辻裕教官房付が就任。

 次長検事に就任した青沼隆之東京地検検事正の後任に八木宏幸最高検刑事部長、その後任に甲斐行夫最高検監察指導部長、その後任に米村俊郎名古屋高検次席検事、その後任に広上克洋大津地検検事正、その後任に小沢正義東京高検公安部長、その後任に浦田啓一東京地検公安部長、その後任に山元裕史東京地検総務部長、その後任に松本裕東京高検検事が就任。

 「課長の上・局長の下」*1と評される官房審議官に就任した辻裕教氏は、2000年代の司法制度改革において裁判員制度などの設計に携わった方で、制度解説の書籍も執筆しています。最近では、大臣官房人事課長から松江地検検事正を経て大臣官房付となり、取調べの可視化や司法取引(捜査・公判協力型協議・合意制度)などを提言した法制審議会の新時代の刑事司法制度特別部会の事務方を務めておられたようです。東京大学法学部出身で1986年任官(司法修習38期)。

 この中で目に留まったのは、最高検の監察指導部です。あまり耳慣れない名前ですが、「検察庁職員の違法・不適正行為に関する内外からの情報を把握・分析し、必要に応じて事実関係の調査を行うほか、検察の組織運営全般に関しても情報の集約を行うなどした上、これらに基づく必要な指導等に当た」る部署で*2大阪地検特捜部検事による証拠改竄事件を受け、検察組織改革により検事6人体制で設置されました*3

 監察指導部長を過去に務めた人たちのキャリアを見てみると、簡単に調べた限りでは、歴代6人(おそらく)の部長のうち、全員が地方の地検検事正を務め、ほとんどがその後高検次席検事または法務省局長を経て、監察指導部長に到達しています。その後のキャリアとしては、大規模地検の検事正を務めて退官した人(大野宗氏、山根英嗣氏)、最高検の他の部長に就任した人(三浦守氏、甲斐行夫氏)、そして公安調査庁長官に就任した人(野々上尚氏)がいます。

 こうしたキャリアの状況は、他の最高検部長ポストと比較してもさほどの差異が見られるわけではありませんが、各部長ポスト間で違いを見出そうとするとしたら、刑事部長ポストかもしれません。ここ数代の人事を見る限り、必須条件というわけではありませんが、最高検刑事部長には他の部長ポストを経験した人が就くケースが見られます(たとえば現職の甲斐部長は監察指導部長から刑事部長、前任の八木部長は公安部長から刑事部長)。これは他の部長ポストにはあまり見られない点です*4。そう考えると、刑事部長だけ少し異なる位置づけがなされているのかもしれません。ただし、網羅的に検討したわけではありませんので、ここでは可能性に留めておくことにします。

*1:岡本全勝氏のウェブサイト参照。

*2:最高検察庁ウェブサイト参照。

*3:読売新聞2011年7月9日朝刊参照。

*4:ただし、例外として、三浦守氏(監察指導部長→公判部長)や小貫芳信氏(総務部長→法務省矯正局長→最高検検事→公安部長)のケースがあります。