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東京高裁長官に戸倉三郎最高裁事務総長が就任へ

朝日新聞最高裁人事」(2016/3/9)

 今月9日の朝日新聞の記事。8日、政府は24日に定年退官する倉吉敬東京高裁長官の後任に戸倉三郎最高裁事務総長を、その後任に今崎幸彦水戸地裁所長をつける人事を閣議で決定しました。さらに、水戸地裁所長の後任には垣内正甲府地家裁所長、その後任には岡本岳札幌高裁部総括判事、その後任には竹内純一旭川地家裁所長、その後任に戸田久名古屋高裁判事という人事になっています。

 退官する倉吉敬東京高裁長官は、1951年3月25日生まれの64歳。25日の誕生日で定年の65歳になります。司法修習28期。京都大学法学部在学中の1973年に司法試験に合格し、1976年に任官(東京地裁)。以来、裁判所内では最高裁調査官、東京高裁部総括判事、さいたま地裁所長、横浜地裁所長、仙台高裁長官、東京高裁長官を務めています。法務省勤めも長く、大臣官房司法法制部長、民事局長を歴任しています。

 戸倉三郎最高裁事務総長は、1954年8月11日生まれの61歳。司法修習34期。一橋大学卒業後、1982年に任官(大阪地裁)。以来、最高裁事務総局審議官、東京地裁部総括判事、最高裁事務総局総務局長、さいたま地裁所長、そして最高裁事務総長を務めています。最高裁事務総局審議官時代は裁判員制度の広報を担当し、2005年度には著名な俳優やタレントを起用した約13億円の広報戦略を展開したとして新聞でも取り上げられています*1

 今崎幸彦水戸地裁所長は、1957年11月10日生まれの58歳。司法修習35期。京都大学法学部卒業後、1983年に任官(東京地裁)。最高裁調査官や刑事局の課長職、司法研修所教官、東京地裁部総括判事、最高裁秘書課長兼広報課長、刑事局長などを経て、水戸地裁所長に就任しています。最高裁事務総局刑事局長としては、取調べの可視化などを議論した法制審議会新時代の刑事司法制度特別部会の委員を務めています。

 明治大学の西川伸一教授は、著書『裁判官幹部人事の研究』の中で、職業裁判官から最高裁判事へと就任する上で必要となる「経歴的資源」として、最高裁事務総長、司法研修所長、最高裁首席調査官、法務省民事局長の「要職4ポスト」を挙げ、これらに応じて最高裁判事への就任ルートは4つあると指摘しています。詳細は西川教授のご著書やその他ご論考(ネットでも閲覧可能)をご覧いただくとして、上記のうち、倉吉長官は近年途絶え気味であったものの寺田逸郎現最高裁長官の任命で復活した法務省民事局長ルートには乗っていたといえます(法務省民事局長、東京高裁管内の地家裁所長、高裁長官)。一方、戸倉事務総長は、いくつかの点を除いては、メインともいえる事務総長ルートに乗っています(事務総局官房事務部局の局付、事務総局の局長、東京高裁管内の地家裁所長、事務総長、東京高裁長官)。今崎所長もこれまでのところは同様といえるでしょう(事務総局官房事務部局の課長、事務総局の局長、東京高裁管内の地家裁所長、事務総長)。

*1:朝日新聞2005年10月19日夕刊。