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2016参議院選挙 司法関係の公約を見る

 参議院選挙まであと2日となりました。情勢調査では改憲勢力3分の2を窺うやら3分の2はきつそうやらいろいろと出ていますが、まあそういう情勢なんでしょう。

 今回は18歳選挙権スタート後はじめての国政選挙となりますが、共同通信の18歳・19歳対象の調査によると、政党が若者に政策を「分かりやすく訴えていると思わない」との回答が88.3%にも上ったそうです*1。この調査の回答者が実際に自ら各党の政策について調べた上でそう答えているのかどうかわかりませんが、一応今回も各政党とも公約や政策集を作成し、インターネット上でアップしています。私はすでに若者ではないですが、個人的な勉強も兼ねて、ここでは主な政党の政策集等を見て、司法関係でどのようなことを示しているのかをまとめておこうと思います(政策集は膨大な数の政策〔というのか方針というのか〕を掲載しているので漏れがあるかもしれません)。

 

自民党総合政策集2016 J-ファイル

  • 「治安・テロ対策」として、「『世界一安全な日本』を実現するための体制強化」「頼りがいのある治安インフラの確立」など。後者では「高齢者が振り込め詐欺を始めとする特殊詐欺の被害に遭ったり、ストーカー事案により女性の安全が脅かされたり、刑務所等の出所者が再び犯罪を犯したりするような国民の安全・安心を脅かす事案が相次いでいます。わが党は、相談事案従事者のスキルアップや広域的な情報管理体制の確立、矯正職員の技能向上など、市民生活の安全を確保するために必要な体制の強化を図っていきます」と記載(p. 55-57)。
  • なぜか(?)「社会保障制度の確立」の下で、「更生保護に携わる民間の方々の活動に対する支援の強化」「刑務所出所者等の仕事と居場所の確保など、再犯防止に向けた施策の強化」「成年後見制度の充実」「総合法律支援の充実強化」「『司法外交』の推進」など。再犯防止については、「刑務所出所者等が社会で『居場所』と『仕事』を確保するため、官・民一体となった再犯防止対策を着実かつ強力に推進するとともに、再犯防止の土台となる矯正施設の環境整備を迅速に進めます。また、協力雇用主に対する『刑務所出所者等就労奨励金支給制度』を始めとした経済的支援策を強化し、『更生保護就労支援事業』を全国各都道府県に展開します。過酷な執務環境にある民間の更生保護施設の職員を増員し、受入れ機能と処遇機能を強化します」。総合法律支援については、「国民の司法アクセス障害を解消するため、日本司法支援センターの業務体制を充実させ、同センターが推進する『司法ソーシャルワーク』(高齢者・障害者等に対し、福祉機関等と連携して積極的に働きかけ、法的問題を含めた総合的な問題解決を図る取組)を支援します」。「司法外交」については、「日本型司法制度の強み等を重要なソフトパワーとして、コングレス2020(国際連合犯罪防止刑事司法会議)に向けて、『法の支配』、『基本的人権の尊重』などの普遍的価値を世界に普及させる多種多様な国際的取組みを、『司法外交』として総合的・戦略的に推進します」と記載(p. 75-76)。
  • なぜか(?)「教育再生」として、「法教育の推進」「法曹志望者への経済的支援」。後者について、「力強い司法の実現のため、その担い手を志す若い人材が法曹への道を断念することがないよう、法科大学院及び司法修習過程を通じて経済的支援を充実・強化します」と記載(p. 84)。
  • 「外交・防衛」として、「法分野における国際協力の推進」。「アジアを中心とした国々において、法の支配やグッドガバナンス(良い統治)が実現し、ひいてはわが国の安全保障に資するよう、対象国の持続的な成長に貢献するための法制度整備支援に積極的に取り組みます」と記載(p. 98)。

 

公明党参院選重点政策) 

公明党は20ページ程度のパンフレットしか見つからず、特にこれといったものは見当たりません。

 

民進党民進党政策集

  • 「内閣(国家公安・拉致問題)」として、「国民の立場に立った警察行政の転換」「犯罪被害者等に対する支援」。前者として、「暮らしの安全を守るために警察官定員を増員します。特に、地域生活の安全、保育園・幼稚園・小学校等の子どもの安全を一層高めるため、退職した警察官等がその担い手となる制度を創設します」。後者として、「国内犯罪被害者やその家族に対する支援を充実します。また、民進党主導で190回通常国会で成立した、国外犯罪行為により不慮の死を遂げた国民の遺族及び障害が残った方への弔慰金の支給を行う『国外犯罪被害者弔慰金の支給に関する法律』の周知徹底を図ります」と記載(p. 64)。
  • 「法務」として、「人権尊重」「企業の法的支援」「法曹養成改革」「個人の尊重」「社会復帰支援」など。人権尊重として、「無実の人が罪を負わせる『えん罪』を無くすため、『取調べの録音録画(可視化)制度』の対象事件(今の法律では全事件のわずか3%程度)をさらに拡大します。同時に、公正な事後検証が裁判所などでできるよう、取り調べについて、最初から最後までの録音録画を実現します」「現在の再審請求手続きは大変複雑で、再審を受けるための壁となっています。この再審請求手続きを見直して再審への門戸を開き、真のえん罪のない社会をめざします」「民進党結成前にも、死刑再審無罪者に国民年金の給付等を行うための国民年金の特例を設ける法改正の実現や、成年被後見人の選挙権回復等のための公選法改正案の成立といった人権回復の法改正を行ってきました。今後もさらなる人権の尊重と回復に向けた制度の改正をめざします」。法曹養成改革として、「経済的な面や学歴などその人が置かれた立場に関係なく、様々な経歴や専門性をもった人が法曹(裁判官・検事・弁護士)として活躍できる機会をつくるために、多くの問題・課題を抱えている現在の法曹養成の制度を根本から見直します」「法曹をめざす人は、法科大学院を卒業したうえで司法試験を受けることが原則となっていますが、法科大学院を卒業しないで司法試験を受験する道を選ぶ人が増え、法曹志望者の法科大学院離れが進行しています。法科大学院で学ぶ価値を高めるため、法曹養成機関としてのレベルを高めるとともに、司法試験受験資格要件を見直し、法律以外の専門的な実務経験を持つ多様な人が法曹の世界に参加できる制度をつくります」。社会復帰支援として、「刑期を終了した人たちが、スムーズに社会復帰し、二度と罪を犯さないで済むように、矯正プログラムを作り直すと同時に、刑期終了者等の就職支援等の充実を図ります」「保護司を含めた保護観察制度を社会の変容に合わせて見直します」と記載(p. 94-96)。
  • 憲法」として、「政治、行政に恣意的な憲法解釈をさせないために、憲法裁判所の設置権等など違憲審査機能の拡充を図ります」(p. 101)。

 

共産党2016参議院選挙政策

  •  「盗聴法拡大・刑訴法『改正』問題、共謀罪」として、「部分的な録音録画を許さず、全事件全過程の例外無き取り調べの可視化を」「警察による『盗聴の自由化』へ—盗聴法は廃止しかない」「冤罪を広げる日本型司法取引を廃止する」「安倍政権の狙う共謀罪の提出を阻止します」「公判中心主義にかなう刑事手続きに向けた抜本的な刑事司法改革を」。
  • 「司法・警察」として、「国民のための裁判」「警察の改革」「国際自由権規約による是正措置と個人通報制度の確立」。「国民のための裁判」として、「刑事裁判を改善します」「民事・行政裁判を改善します」「最高裁事務総局の官僚的統制をあらためます」「法曹養成制度を充実させ、法科大学院生・修習生への経済的援助をもとめます」。刑事裁判の改善について、「裁判員裁判で無罪推定の原則をつらぬき、よりよい制度に改善します」「保釈の改善、証拠の全面開示を求め、目的外使用禁止をやめさせます」「取り調べ全体をガラス張り(可視化)にし、弁護人の立会いを認めます」「憲法違反の盗聴法、えん罪の危険を広げる『司法取引』制度の廃止」「人権侵害の取り調べの温床である代用監獄』を廃止します」「検察を改善し、検察審査会を活用します」。民事・行政裁判の改善について、「民事・行政裁判にも国民参加の制度を導入します」「法律扶助予算を増額し、『裁判を受ける権利』を実質的に保障します」「裁判官を大幅に増員します」。最高裁事務総局関連では、「弁護士の一定年数経験者の裁判官任官をすすめます」「最高裁裁判官は任命諮問委員会の答申をふまえて任命する制度を確立します」「裁判官会議を確立し、裁判官の市民的自由を保障します」。法曹志望者への経済的援助として、「法科大学院への授業料減免の拡充給付制奨学金の創設とともに、司法修習生への給費制復活のため、政府に法改正と予算措置をもとめます」など記載。めちゃくちゃ詳細です。

 

おおさか維新の会マニフェスト

  • 憲法改正による教育無償化、道州制実現を含む統治機構改革、憲法裁判所設置」として、「政治、行政による恣意的憲法解釈を許さないよう、憲法裁判所を設置する」「憲法裁判所の判決で違憲とされた法令、処分等は、その効力を失うこととする」と記載(p. 7)。

*1:共同通信若者の88%が政党は説明不足 参院選で18歳ネット調査」(2016年6月7日更新、2016年7月8日確認)。