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女性初の法務省局長、消費者庁長官に

司法 検察 法務検察人事

時事通信消費者庁長官に法務省岡村氏=3代連続で女性」(8/2)

 内閣府は2日、坂東久美子消費者庁長官が9日付で退職し、その後任に岡村和美法務省人権擁護局長を充てる人事を発表しました。検察官出身者が消費者庁長官に就任するのははじめてのことで、消費者庁としては3代連続の女性長官となります。

 岡村新長官は、早稲田大学卒業後、1983年に弁護士登録。ハーバードロースクール修了。日米両国で活躍し、モルガン・スタンレー証券東京支店法務部長などを経て、2000年に42歳で検事に任官したという異色の経歴の持ち主です。もともと検事志望だったそうですが、「検察幹部から取り下げを勧められた。女性の検事がまれだった頃だ。その志へ立ち戻った」という形になります*1。2003年4月には法務省初の女性課長として、刑事局国際課長に就任。その後、証券取引等監視委員会事務局国際・情報総括官などを経て、2014年7月に法務省初の女性局長として人権擁護局長に就任しました。

 岡村氏の後任の人権擁護局長には、萩本修大臣官房司法法制部長が決定されています*2。萩本新局長は裁判官出身。1988年に判事補任官後、検事に転出し、官房審議官(民事局担当)を経て、2014年7月から司法法制部長を務めています。人権擁護局長は、戦後当初は弁護士出身者が務めていたものの、その後は裁判官出身者の指定席のようになっています。岡村氏の前任の萩原秀紀氏も裁判官出身で、人権擁護局長を務めた後に裁判所に戻り、現在は名古屋家裁所長を務めています。


歴代法務省人権擁護局長*3

氏名 就任 退任 出身
1 大室亮一 1948/2/15 1950/3/22 弁護士
2 田中治彦(事務取扱) 1950/3/22 1950/10/17
3 戸田正直 1950/10/17 1957/2/1 弁護士
4 鈴木才藏 1957/2/1 1962/3/20 弁護士
5 稲川龍雄 1962/3/20 1963/12/20 弁護士
6 鈴木信次郎 1963/12/20 1966/4/1 裁判官
7 堀内恒雄 1966/4/1 1968/6/15 裁判官
8 上田明信 1968/6/15 1969/12/23 裁判官
9 川島一郎 1969/12/23 1970/10/28 裁判官
10 影山勇 1970/10/28 1973/1/23 裁判官
11 萩原直三 1973/1/23 1975/7/14 裁判官
12 村岡二郎 1975/7/14 1977/9/9 裁判官
13 鬼塚賢太郎 1977/9/9 1979/11/17 裁判官
14 中島一郎 1979/11/17 1980/12/25 裁判官
15 鈴木弘 1980/12/25 1984/9/1 裁判官
16 野﨑幸雄 1984/9/1 1987/6/22 裁判官
17 高橋欣一 1987/6/22 1989/12/18 裁判官
18 篠田省二 1989/12/18 1992/7/29 裁判官
19 筧康生 1992/7/29 1995/7/31 裁判官
20 大藤敏 1995/7/31 1997/7/7 裁判官
21 横山匡輝 1997/7/7 2001/1/6 裁判官
22 吉戒修一 2001/1/6 2005/1/18 裁判官
23 小西秀宣 2005/1/18 2006/6/30 裁判官
24 富田善範 2006/6/30 2009/7/14 裁判官
25 石井忠雄 2009/7/14 2012/9/25 裁判官
26 萩原秀紀 2012/9/25 2014/7/18 裁判官
27 岡村和美 2014/7/18 2016/8/9 弁護士
28 萩本修 2016/8/9 裁判官


歴代消費者庁長官

氏名 就任 退任 前職
1 内田俊 2009/9/1 2010/8/11 内閣府事務次官
2 福嶋浩彦 2010/8/11 2012/8/10 我孫子市
3 阿南久 2012/8/10 2014/8/10 全国消費者団体連絡会事務局長
4 坂東久美子 2014/8/10 2016/8/9 文部科学審議官
5 岡村和美 2016/8/9 法務省人権擁護局長

*1:朝日新聞2003年4月18日朝刊。2005年4月には検察庁に「男女共同参画推進委員会」(委員長・川野辺充子最高検検事、後に高松地検検事正)が設置され、岡村氏もメンバーに加わったそうです。朝日新聞2006年6月7日夕刊。このときのことは、内閣人事局が作成した「国家公務員女性幹部職員からのメッセージ」で少し触れられています(なおこの冊子では以前このブログで書いた赤根智子氏も取り上げられています)。この点と関連して、最近の土井香苗ヒューマン・ライツ・ウォッチ日本代表と加藤登紀子さんの対談で、土井氏は「司法研修所で検察官に任官される女子はクラスで原則1人という割り当てがあったのです。クラスにはそれぞれ担任の検事、裁判官、弁護士がいて、検事と裁判官は採用も担当します。でも、検事1人につき女子は1人しかリクルートできない。当時は当たり前でしたが、女性差別だと気付き撤廃に取り組んだのです。人権を扱う役所(法務省)が女性差別していることをマスコミにも訴えたところ、ほどなく撤廃されました」と話しています。毎日新聞Tokiko's Kiss 対談 加藤登紀子×土井香苗さん 人権守るために闘う」(2016年8月1日更新、2016年8月3日確認)。

*2:日本経済新聞法務省・人権擁護局長に萩本氏を起用」(2016年8月2日更新、2016年8月3日確認)。

*3:法務省『法務行政の50年』および朝日新聞、読売新聞を参照して作成。