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大野恒太郎検事総長の後任に西川克行東京高検検事長

司法 検察 法務検察人事

時事通信検事総長に西川氏=法務次官は黒川氏—政府」(8/15)

 8月15日、政府は大野恒太郎検事総長勇退を認め、その後任に西川克行東京高検検事長を充てる人事を決定しました。また、稲田伸夫法務事務次官仙台高検検事長へ転出し、稲田次官の後任に黒川弘務官房長が就くことも決められています。

 昨年、「東京高検検事長に西川克行札幌高検検事長が就任へ」という記事で書いたように、この検事総長人事は既定路線でした。大野検事総長は1952年4月1日生まれで、来年4月に定年を迎えます(検事総長の定年は65歳)。一方、西川東京高検検事長は1954年2月20日生まれで、来年2月に定年を迎えます(その他の検事の定年は63歳)。そのため、西川検事長が63歳になる前に大野検事総長が退職し、西川氏がその後を襲うということが予想されていました。大野検事総長も就任から概ね2年ということで、このタイミングになったのでしょう。

 一方、より注目されるのは事務次官人事の方です。法務事務次官は、慣例上、刑事局長から昇進することになっています。ここ30年ほどで見れば、但木敬一氏以外はすべて刑事局長からの昇進です。しかし、今回、同じ修習35期で同年齢、同じ東大法学部卒の林真琴刑事局長ではなく、黒川弘務官房長が事務次官ポストをゲットしたことになります。それにしても黒川氏はえらく長く官房長を務めていましたね。これまでの最長は但木氏の4年1ヵ月でしたが、黒川氏は2011年8月からなのでそれを超えます。

 黒川氏といえばネット上やらなんやらではあまり評判の良くない方のようですね。「黒川弘務」で検索すると上の方に出てくるのが「甘利前大臣を不起訴にした“黒幕”」という日刊ゲンダイの記事です*1。個人的には黒川氏といえば司法制度改革の印象が強いです。今般の刑事司法改革の際も、松山地検検事正だった黒川氏は法務省に呼び戻され、官房付から官房長という立場でそれに関わっています*2。官房長を長い期間務めたのはそういう事情があるのかもしれません(但木氏が官房長を長く務めたのも司法制度改革の時期でした)。

 ちなみに、但木氏が官房長から直接事務次官に昇任した際の刑事局長は古田佑紀氏でした。古田氏は、法務省刑事局長から最高検刑事局長、次長検事を経て2004年に退官。その後、2005年から2012年まで最高裁判事を務めています。

*1:日刊ゲンダイ甘利前大臣を不起訴にした“黒幕” 法務省幹部の名前と前歴」(2016年6月9日更新、2016年8月15日確認)。

*2:黒川氏は、検察の在り方検討会議では事務局を担当し、その後の法制審議会新時代の刑事司法制度特別部会にも当初(官房長になるまで)「関係官」として参加していました。検察の在り方検討会議第1回会議議事録(2010年11月10日)および法制審議会新時代の刑事司法制度特別部会第1回会議議事録(2011年6月29日)参照。官房長になって以降、特別部会に参加するようになったのは、黒川氏に代わって官房付となった林真琴氏でした。林氏はその後、最高検総務部長、仙台地検検事正を経て、法務省刑事局長となっています。