読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

裁判官選任(7) ウィスコンシン州郡裁判所の場合

 先日も少し書きましたが、裁判官選挙に関する本を読んでいます。そうした方面のニュースも仕入れようかと検索してみたところ、ちょうど明日、ウィスコンシン州の3つの郡裁判所で裁判官選挙の予備選挙が行われるとのことだったので、現在進行形でチェックできると思い、特にポーク郡(Polk County)を取り上げて調べてみました。

 まず、ウィスコンシンの裁判所制度は次のようになっています。最高位にはもちろん最高裁判所があるわけですが、その下に控訴裁判所(Court of Appeals)、巡回裁判所(circuit courts)があり、さらに交通事件などを扱う自治体裁判所(municipal courts)があります。ここでは巡回裁判所だけを見ておくと、巡回裁判所は第一審裁判所で、いくつかの例外を除き各郡(county)に1つは設置されています。ウィスコンシンには72の郡があり、合計で249人の巡回裁判所判事がいるわけですが、そのうち26の郡では裁判官は1人しかおらず、反対にミルウォーキー郡には47人の裁判官が配置されています。ポーク郡の場合は2人です*1。今回の選挙は、そのうちの1人であるダニエル・トラン判事の任期切れに伴い行われるものです。

 ウィスコンシン州では、裁判官の任命に際して選挙が行われているわけですが、非党派的(nonpartisan)な選挙制度が採用されています。これは最高裁控訴裁判所も巡回裁判所も同様です。非党派的選挙とはつまり、選挙で裁判官を決めるけれども、各候補者は自らの党派を明らかにしない、ということです(基本的には)。最高裁判事の任期は10年で、その他の裁判官は6年となっています。任期が切れれば、留任したければ再び選挙を戦わなければならないことになります*2

 さて、今年の裁判官選挙ですが、本選挙は4月4日に予定されています。ウィスコンシンでは、全体で48の裁判官ポストが本選挙にかけられることになっていますが、それに先立って予備選挙が行われるのはポーク郡を含め3つのみです*3。というのも、予備選挙は1つの選挙区あたり3人以上が立候補した際に(つまり候補を2人に絞り込むために)実施されるようです(なので当選者は1人ではなく上位2人)*4。ちなみに、選挙が予定されている48の選挙区のうち37(77%)において無投票となる模様です。

 ポーク郡では、3人の候補が立候補しています。1人は、現職であるダニエル・トラン氏。現職といっても、引退した裁判官の後任として今年1月に任命されたばかりの人物です*5。それまではポーク郡で地区検事補を務めていました。2人目はデヴィッド・ダニエルソン氏。地元マーケット大学の出身で、ポーク郡のセント・クロワ・フォールズの自治体裁判所で判事を務めています。そして3人目がマリア・マローン氏です。ハムリン大学の出身で、彼女も現在ポーク郡の法律顧問補(assistant corporation counsel)など公職に就いています。

 この3名のうち、ウェブサイトを設けているのは現職のトラン氏のみ。また、トラン氏とマローン氏はFacebookページを開設しています。他方、ダニエルソン氏はどうやらそれさえもないようで、強気というのかなんというのか。そもそも日本の地方自治体選挙でもインターネット上の発信に積極的でない人は多いと思いますし、同じような感じなのかもしれません。実際FBページを設けているトラン氏とマローン氏の場合も、「いいね!」しているのはそれぞれ298人、538人程度です(ポーク郡の人口は4万人強)。

 ちなみにトラン氏のウェブサイトこんな感じです。特に感嘆するような点はないですが、まあわかりやすいといえばわかりやすいでしょうか。地の文が白地にグレーっていうのがあまり読み手に優しくない気もしますが。自己紹介ページはこんな感じ。法律職の経験、社会的な経験、公職の経験を推しています。

 トラン氏はFacebookの方ではそんなに活発に投稿していません。たとえば、今月に入ってからテキスト付きで投稿したのは5回だけです。FBページを開設しているもう1人の候補であるマローン氏も6回と、そんなに変わりません。ただ、マローン氏は動画も活用していますし、画像もトラン氏よりはうまく活用できているような印象を受けます。でもトラン氏は現職なので、法廷で法服を着ている写真を1つ投稿するだけでも大きいような気もします。

 それにしてもウィスコンシンは非党派的選挙ですので政党ラベルという手がかりがなく、さらにインターネット上の情報発信もしていないダニエルソン氏について、有権者はどうやって知ることができるのでしょうか。戸別訪問や集会などをやっているのかもしれませんが*6。結果はどうなるでしょうか。また更新します。

 

追記(2017年2月23日13時30分)

 ポーク郡での裁判官選挙の結果が出ました。現職のトラン氏が1604票、マローン氏が930票、そしてダニエルソン氏が764票を獲得し、トラン氏とマローン氏が4月4日の本選挙に進むことになりました*7。ポーク郡のウェブサイトにアップされているはずの選挙結果にアクセスできませんので詳細はわかりませんが*8、結果的にインターネット上で情報発信をしていた2名が予備選挙を勝ち上がったということになります。あくまで「結果的に」ですが。

*1:Wisconsin Court System "Circuit courts" (last visited 2017/2/20).

*2:Ballotpedia "Judicial selection in Wisconsin" (last visited 2017/2/20).

*3:Ballotpedia "Wisconsin local judicial elections, 2017" (last visited 2017/2/20).

*4:Ballotpedia "Wisconsin judicial elections" (last visited 2017/2/20).

*5:ここのプロセスもおもしろそうですが、そこまで調べる気力はないので、とりあえず記事だけ貼りつけておきます。Osceola Sun "Governor will choose from three judicial applicants" (last updated 2016/12/22, last visited 2017/2/20).

*6:地元紙ではアンケート調査が行われています。Amery Free Press "Voter Guide: February 21 primary will narrow candidate field" (last updated 2017/2/15, last visited 2017/2/20).

*7:Amery Free Press "Evers/Holtz, Tolan/Malone advance to April 4 ballot" (last updated 2017/2/22, last visited 2017/2/23).

*8:おそらくこちらのURLのはずですが、つながりません。